学位・学歴要件 academic qualification for Japanese work visa

この資料は、平成27年3月の改正入管法施行前の行政実務、先例に基づくものです。在留審査における学位・学歴要件の判断基準は、現在も概ね変更がありません。
参照する際は、現在の在留資格等に読み替えてください。

なお、学位を要件とする在留資格の審査では、原則として下記と同様の基準が用いられていますが、「高度専門職」の在留資格の審査においては幾つかの例外があり、専門職学位(MD,JDなど)を修士相当として取り扱うほか、「外国の大学を卒業し」たものには「大学を準ずる機関」及び「大学卒業者と同等以上の教育を受けた者」が含まれないなどの相違点がありますのでご注意ください


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在留資格のうち、「研究」、「教育」、「技術」及び「人文知識・国際業務」に係る基準省令においては、「大学を卒業し」又は「大学を卒業し又はこれと同等以上の教育を受け」の規定がある。また、2012年5月7日から実施されている、いわゆる「高度人材ポイント制」においては、博士、修士、専門職学位、学士等の学歴によって、審査の優遇措置を設けている。

法令および法務省の審査基準(入在要領を含む。)によると、これらの解釈及び取り扱いについて、入管では次の点に留意している。
当職による注釈は、赤字で示す。

特に断りのない限り、以下の説明における「大学」「短期大学」は、日本の教育機関をいい、外国の学校を含まない
外国の大学、高等教育機関については、下記の3を参照

  • 「大学を卒業し」
    • 学士又は短期大学以上の学位を取得した者をいう。
    • 学位には、日本の教育機関で取得した、準学士、学士、修士、博士及び専門職学位が該当する。
      • すなわち、外国の教育機関が授与した学位は、これに該当せず、次項の「これと同等以上の教育」に該当するかの検討を要する。
    • 学位には、「専門士」は含まれない(ただし、「技術」「人文知識・国際業務」への資格変更については、例外的取扱がある)。高度専門士については、下記参照。
  •  「これと同等以上の教育を受け」
    1. 大学の専攻科・大学院への入学が認められる教育機関及び短期大学卒業と同等である高等専門学校の卒業者。
      • 学位授与機構により学位を受けた者は、大学院への入学資格があるものの、当該授与教育機関の卒業生ではないため、この規定には直接あてはまらない。(説明は後述)
    2. 以下の機関の卒業者。
      1. 当該機関の職員が一般の職員の給与に関する法律別表第6にある教育職員俸給表(一)の適用を受ける機関
        • 「この表は、大学に準ずる教育施設で人事院の指定するものに勤務し、学生の教育、学生の研究の指導及び研究に係る業務に従事する職員その他の職員で人事院規則で定めるものに適用する。」(教育職員俸給表(一)備考)
      2. 設備及びカリキュラム編成において大学と同等と認められる機関
        • 上記人事院規則8条以外の国公立の大学校で、卒業後に大学院への入学が認められる課程を修了した者が、これに該当する。航海訓練所や短期大学校の専修科修了生もこれに含まれる
        • 職業能力開発大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発短期大学校は含まれるが、職業訓練校は含まれない。
        • 具体的には、大学評価・学位授与機構が大学と同等と認められる機関かどうかについて認証を行っている(学校教育法第104条第4項第2号,学位規則第6条第2項)。現在同等と認められる機関と課程は、次のとおり。
          • 防衛大学校 本科・研究科博士前期課程・博士後期課程 (学士、修士、博士)
          • 防衛医科大学校 医学科・研究科博士後期課程 (学士、博士)
          • 海上保安大学校 本科 (学士)
          • 気象大学校 大学部 (学士)
          • 国立看護学校 看護学部・研究課程部 (学士、修士)
          • 水産大学校 本科・研究科 (学士、修士)
          • 職業能力開発総合大学校 総合課程・長期課程・研究課程 (学士、修士)
        • このほかに、人事院規則9-8で、大学と同等に扱われる機関が以下のとおり指定されている。
          • 短大2年課程相当
            • 都道府県農業大学校(養成課程)
            • 職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発総合大学校東京校の各専門課程
            • 航空保安大学校(本科)
            • 国立海上技術短期大学校
          • 大学4年課程相当
            • 職業能力開発大学校、職業能力開発総合大学校東京校の各応用課程
      1. 学校教育法施行規則155条1項4号に基づき告示指定された外国の教育機関
        • 外国大学の日本校で、JRの学割定期券が買える4年制の課程であれば、当該指定がなされている。入管WANに指定校が掲載されている。
    3. 外国の高等教育機関の卒業者。
        • 文部科学省編「諸外国の学校教育」において、高等教育機関として位置づけられている機関を卒業した者は、大学卒業又は同等の教育を受けたものとして扱う。
          • 「諸外国の学校教育」は、文部科学省『教育調査』のシリーズの一部として、平成7年から8年にかけて発行された。内容が古く、現状と合わない部分がある。
            • 第122集『諸外国の学校教育 欧米編』(平成7年11月)
            • 第123集『諸外国の学校教育 中南米編』(平成8年1月)
            • 第124集 『諸外国の学校教育 アジア・オセアニア・アフリカ編』(平成8年9月)
          • 「諸外国の学校教育」を補完する資料としては、『教育調査』第139集「諸外国の教育動向2008年度版」(平成21年6月)のほか、同省生涯学習政策局調査企画課「教育指標の国際比較」(平成21年版)が参考となる。
          • 外国の教育水準の比較については、UNESCOが策定した国際標準教育分類("ISCED Level") という国際的な尺度が参考になる。ISCED Level 5A, 5B および 6 については、就学年限が2年以上あれば、基準省令における大卒相当と推定することができる。
          • EU
              1. EU各国の学歴の比較は、次を参照。 http://eacea.ec.europa.eu/education/eurydice/documents/european_glossary/046EN.pdf
                • 上記によると、たとえば、ドイツの "Dipl.-Ing." 、イギリスの "Postgraduate Diploma in Law" (弁護士となるための基礎資格の一つ)などのディプロムは、ISCED Level 5 に該当することがわかる。
                  • Dipl.-Ing 及び PD in Law の学位・学歴については、技術と人文国際の在留資格が認められた先例があります。
              2. イギリスは、さらに詳細な学歴区分を設けている。国内教育の指標である NQFおよびFHEQ の4から8までが、ISCED の5と6に相当する。FHEQ 5 が学士相当。
              3. イギリスの学位の国際比較については、一覧表がある。 http://www.qaa.ac.uk/Publications/InformationAndGuidance/Documents/Quals_cross_boundaries.pdf
          • ロシアについては、旧ソ連時代と現在では、教育制度が大きく変わっています。
            • 旧ソ連からの伝統的な学位・称号には、博士(ドクトル・ナウク)、博士候補(カンジダト・ナウク)、学部卒に相当する дипломированный специалист (certified specialist) などの学位・称号があり、旧ドイツのそれに類似しています(いずれも在留審査では大卒以上の学歴とみなされている)。
            • 新制度での学位は、博士、修士、学士など米国スタイルで、EUの制度との整合性が意識されています。
            • ロシアで学位を授与する機関は国家であり、学位記の発行名義は、大学ではなく、国家機関となっています。また、大学のロシア語の正式名称が英語や日本語の通称と大きく異なる場合があり、注意が必要です。英語で証明書が発行されている場合は、(英語だと似た名称の大学が複数存在することがあるため)どの大学のものか判別が難しいことがあるので、ロシア語での学校の名称を確認することをおすすめします。
          • 中国の教育機関の卒業者については、次の扱い。
            • 大学院、大学(又は学院、うち本科・専科を含む。)、専科学校、短期職業大学を卒業して学位を取得したものは、大卒同等以上として扱う。
              • 本科は4~5年制、専科は2年制。
            • 在留資格「研究」の上陸許可基準中の「大学(短期大学を除く。)を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け」たかどうかは、以下のいずれかの場合に該当する。
              • 4年又は5年制の本科卒業者
              • 学位の授与ができる成人教育機関で4年以上の課程を修了し学位を取得した者。
            • 国の学歴に関する証明書は、非常に偽造が多いので注意が必要。
              • 中国の学位認証機関である「教育部学位与研究生教育発展中心」(CDGDC)から証明書を取り寄せるよう、申請人に依頼するのが確実な確認方法。手数料を払えば、CDGDCから直接日本に送られてくる。(学校のほか、就職先に直送も可能。)
              • 最近は、オンラインでCDGDCの「中国高等教育学生信息網」に登録された学歴を確認できる。日本にも確認を代行する団体・業者が幾つかある。
              • 2003年、日本の入管とCDGDCとの間で、学歴認証についての協定が締結された。入管では、必要に応じて学歴を直接中国の機関に照会しているものと思われる。
            • 大学や学院を名乗っていても、学位を授与する権限のない非正規の学校がある。また、学院の本科・専科であっても、学位の授与を行わないコースが併設されていることがある。これらの場合でも、見かけ上正規の卒業証書と類似した証明書が交付されるので、相当の注意が必要。
            • 中国の場合、卒業しても学位が授与されないことがある。
              • 以前、入管では、中国の学校の卒業の有無を審査する際に、学位の有無についてはチェックしていなかったのですが、最近、この扱いを変えて学位のチェックを厳密に行っています。(最近の入在留要領の「中国の教育機関卒業者の扱い」に「学位を取得した者」の文言が追加されました。)
              • 卒業に関しては「畢業」証書、学位については、学位証書が発行される。
            • 中国の「自学考試」による卒業資格は、大卒と同等以上とみなされない
              • 中国では、「自学考試」という試験により卒業資格を得た場合、大学本科又は専科の卒業と同等の資格が授与され、上級の学校への進学も可能。ただし、学位を得ることはできない。 この資格は、大学に在籍して教育を受ける必要がないので、「これと同等以上の教育を受け」の要件に当てはまらない。
              • なお、日本の学位授与機構(後述)の場合は、試験と教育歴に基づいて「学位」を授与するので、「卒業資格」を与える自学孝試とは性格を異にする。
              • ちなみに、中医学の自学考試さえある。
    4. 大学を中退して飛び級で大学院に入学した者
      • ここでいう「大学院」とは、日本の大学院をいう。外国の大学院の飛び級入学の場合は、「これと同等以上の教育を受け」に該当するかを判断する。
なお、入国管理局の在留審査要領に明示されていないが、 「これと同等以上の教育を受け」に該当する学歴として、学位授与機構の学位がある。
  • これは、大学等の科目履修制度などにより履修単位を積み上げて、試験を経て学位が授与されるもの。
  • 大学卒業の有無は学位授与の要件ではないため、基準省令でいう「卒業し」にはあたらない。
  • しかし、学位授与の基礎単位の習得過程(大学等における科目履修の積み上げ)は「これと同等の教育」にあたるから、学位授与機構で学士の学位を授与された者については、大卒と同等以上の教育を受けたものと判断できる。
このほか、インドのDOEACC(ドアック)制度に基づくIT資格で、レベルA,B及びCの保有者については、技術・人文知識・国際業務の審査で、大学卒業と「同等以上の教育を受けたこと」に適合します。(この基準は、高度専門職の審査では適用されません。)
  • DOEACCは、中等教育又は高等教育を終了後、認定コースで一定期間専門教育を履修し、試験に合格すると付与されます。
    • DOEACC C - M.Tech (工学修士)に相当
    • DOEACC B - MCA(コンピュータ応用修士)に相当
    • DOEACC A - PG Diploma (大学院課程修了証書)に相当
    • DOEACC O - Diploma 相当 --- 入管の審査では、大卒相当とは認められない。


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